樺沢紫苑氏の『アウトプット大全』の書評です。
普段、本やブログを読んだり、動画をみるといったインプットをしていても、なかなか記憶として定着しないのが悩みでした。
そんなある時、アメリカ国立訓練研究所の研究によって導き出された、学習定着率をあらわす「ラーニング・ピラミッド(Learning Pyramid)」をみたときに、愕然としました。
記憶が定着していないのは、アウトプットをしていないのが原因だったからです。
ラーニング・ピラミッドを見ると、講義を受ける(5%)や読書をする(10%)といった受動的な方法では定着率が低く、ピラミッドの下に行くほど定着率が高いことが分かります。
読書をしただけでは、記憶に残りにくいという事はすでに研究で明らかにされていたのでした。
その数日後、リベラルアーツ大学の両学長が樺沢紫苑氏の他の著書を紹介していたことをきっかけに、『アウトプット大全』を知りました。
この本は、記憶の定着を図りたい方や、アウトプットをどうしたらいいのかと悩んでいる方にぜひ読んでほしい一冊です。
目次
『アウトプット大全』でアウトプット方法を体得すれば記憶が定着する
樺沢氏はアウトプットを「Talk」「Write」「Do」に分類しています。
これらは、”聞く”や”読む”といった受動的な行為に対して、積極的な行為ですね。
自分自身が主体となって積極的に行動を行うことで、記憶が定着します。
私が本書を読んでいて印象に残ったのは、以下の5項目です。
- 悪口はストレス発散ではなく、逆にストレスになる
- 感謝には7つのメリットがある
- Google日本語入力を使ったり、単語登録を徹底する
- 5分がんばれば、「やる気スイッチ」オンになる
- 怒りをコントロールする
1 悪口はストレス発散ではなく、逆にストレスになる
「話す」ことはアウトプットになりますが、「悪口をいう」ことは百害あって一利なしです。
悪口をいうと、ストレスホルモンであるコルチゾールが分泌され、ストレス発散ではなく、逆にストレスになります。
さらに、悪口や批判が多い人は、認知症になる危険性が3倍も高いという研究結果が出ています。
2 感謝には7つのメリットがある
「感謝を伝える」こともアウトプットの一つです。
感謝には7つのメリットがあります。
- 感謝すると人間関係がうまくいく
- 感謝するだけで幸福度が25%アップする
- 感謝する人は9.4年長生きする
- 感謝する人は病気になりにくい
- 感謝すると免疫力がアップする
- 感謝する人は病気の回復が早い
- 感謝するだけで痛みが軽減する
3 Google日本語入力を使ったり、単語登録を徹底する
Google日本語入力には以下3つのメリットがあります。
まず、最初の1~2文字を入力しただけで候補が表示される補完機能。2つ目は、定期的に辞書がアップデートされる機能。3つ目が、使えば使うほど賢くなる学習機能。
入力速度を早くするためにも、Google日本語入力はオススメです。
また単語登録を使っていないのであれば、ぜひ使ってみて下さい。
私は職場の個人用パソコンに定型文を入れ込みました。
「平素よりお世話になっております」
「ご多忙のところ大変恐れ入りますが、御高診のほどよろしくお願いいたします」
「酸素指示:SpO2 〇〇%以上キープ、酸素カヌラ○Lから開始、リザーバー○Lまで、酸素off可」
「退院指示:診療情報提供書あり、退院時処方あり、次回外来受診○月○日」
など、わずか3~4文字で、定型文を入力できるようになり、時短にかなり貢献しています。
4 5分がんばれば、「やる気スイッチ」オンになる
作業を始めてみると、だんだん気分が盛り上がってきてやる気がでてくることは、「作業興奮」として知られています。
側坐核は脳の「やる気スイッチ」です。この側坐核はある程度の強さの刺激がないと活動を開始しません。その必要時間が5分なのです。
とりあえず作業を始めてみることで、やる気スイッチがオンになって、本格的な「やる気」がでてきます。
5 怒りをコントロールする
感情のアウトプットである「笑う」「泣く」は、たくさんすることで、いろいろなメリットが得られます。
しかし、「怒り」に関しては、発散しすぎると人間関係にヒビが入るなどマイナスの影響しかなく、上手にコントロールする必要があります。
怒りの感情が爆発しそうになった時に、アドレナリンが分泌されます。アドレナリンの体内での半減期は20~40秒と非常に短く、30秒も我慢すれば怒りのピークは通りすぎます。
アウトプットを通じて、記憶を定着させる具体的な方法
樺沢氏が推奨するアウトプット方法は本書では7つ紹介されています。
そのうち、以下の2つは私も取り入れられそうだなと感じ、実行に移しています。
- 日記を書く
- ブログを書く
1 日記を書く
樺沢氏はポジティブな出来事、楽しい出来事、うれしい出来事を書く、「ポジティブ日記」を勧めています。
ポジティブ日記は、リベラルアーツ大学の両学長や「死ぬ瞬間の5つの後悔」の著者であるブロニー・ウェア氏も推奨されていました。
ポジティブな内容の日記は、単純にその日あった出来事を記すだけの日記に比べて、幸福度と生活に対する満足度が高く、さらにその内容を友人や家族とシェアするとさらに幸福度はアップします。
また、1日の中から「ポジティブ」と「楽しい」を思い出す作業を行うことで、ポジティブ思考が訓練されて、日常の中から「楽しい」を発見する能力が高まります。
2 ブログを書く
ブログを書くと、圧倒的に記憶に残ります。
通常の読書であれば、平均定着率が10%(ラーニング・ピラミッドより引用)ですが、それを人に伝えようとすると記憶としてより定着します。
私は、ブログや読書感想を書くために、本を改めて読み返すのは大変だし、気づきを得た部分を中心に読み返すために、kindleでマーカーを引いたり、本であれば写メを撮って読み返すようにしています。
写メを撮って読み返すだけでも記憶の定着に有効だと思いますが、さらに要点をまとめて書くことでより記憶に残りやすくなります。
まとめ
樺沢紫苑氏の『アウトプット大全』を読むことで、今まで深く考えたり、学んだりすることがなかったアウトプットに関して、体系立てて学習することができました。
アウトプットを通じて記憶の定着を図ることは、インプット以上に有効です。
記憶の定着させたい方や、アウトプットの仕方を学びたい方にオススメの一冊です。